ハツキス2016年11月号の透明なゆりかごハツキス15話のあらすじです♪
ハツキス15話はおそらくコミック5巻に収録されると思います。
透明なゆりかご5巻ハツキス15話のあらすじ【ネタバレ注意】
カメムライチロー
仕事終わりに、☓華がいつも立ち寄る小さな串カツ屋さんがあります。店は店長の塚ポンと奥さんのカナエさんが切り盛りしています。
2年前にこの店をオープンしたばかりの塚ポン。しかし、今年もう1店出すと聞き、☓華は仰天します。
「これもさー」
「”カメムライチロー”のおかげだよ・・・」
そう言って、塚ポンはこれまでの半生を語りだします。
20歳で奥さんと結婚した塚ポン。なかなか子供はできなかったものの、何と10年目にして奥さんが妊娠。奥さんは切迫流産となった末、難産で帝王切開となりながらも、ナツキ君を出産します。
しかし、ホッとしたのも束の間。出産4ヶ月後、ナツキの右耳は全く聞こえておらず、左耳に僅かな聴力があるのみだと判明します。
「・・・私のせいだ・・・」
「妊娠した時3ヶ月検診行くの忘れてたから」
「あの時・・・切迫って言われてたのに安静にしてなかったから」
「食事の管理ができなくて中毒になりかけたから」
「ごめんね」
「ごめんね」
それから奥さんは、自分を責めるようになってしまいます。
成長
左耳に残っている聴力で言葉を憶えさせようと、補聴器をつけて訓練させる塚ポンと奥さん。しかし、ナツキは補聴器を嫌がり、なかなか訓練は進みません。
それでも、子供はあっという間に成長していき、ナツキが2歳に。ナツキと同じぐらいの周りの子は、もう言葉を喋り始めるようになっています。
「ナツキー」
「ナツ君!」
「ママーって言ってごらん」
「マ!!」
「マ!!」
「あ゛ーあ゛ー」
奥さんが一生懸命言葉を教えますが、2歳を過ぎてもやはりナツキは話すことができません。
それから奥さんはナツキを、耳に効くというお灸に通わせたり、体にいいという水を買ってきたり、他にも針や気功などあらゆる民間療法に頼るようになります。
そんなある日、奥さんは過労で倒れて入院してしまいます。
「・・・・・・」
「なあカナエ・・・」
「もう」
「治療やめよう」
「ちょっと・・・何言って・・・」
塚ポンの提案に青ざめる奥さん。
塚ポンはもし奥さんがまた倒れて自分がナツキの面倒をみることになれば、仕事も満足にこなせずナツキの治療費も払えなくなり、みんなが不幸になってしまうことを一生懸命 説明します。
塚ポンの説明を聞いた奥さんは、ナツキの治療をやめて障害を受け入れることに、泣きながら同意します。
転職
それから塚ポンは、飲食店に転職することを決意。いずれ自分の店を持てるようになれば、側でナツキの様子を見ることができ、大人になったナツキが働くこともできると考えたからです。
30歳を過ぎてから、慣れない仕事に就くのは本当に大変だったものの、家族の将来のために一生懸命働く塚ポン。
塚ポンが働いている間、奥さんはナツキにたくさん話しかけ、手話と筆談も教えて、カタコトながらコミュニケーションが取れるようになってきます。
そんなある日、3人でテレビを見ていると、生まれ変わりの特集番組が始まります。
「カメムライチロー」
「えっ!!」
「何?」
「誰だよその人」
ナツキが突然 知らない名前を喋り出し驚く塚ポンと奥さん。
「カメムラ」
「イチロー」
「ボクのこと」
カタコトしか話せないナツキが、やけにハッキリとした言葉を発します。
それから塚ポンと奥さんは、カタコトの言葉と手話で根気よくナツキの話を聞き出します。すると、次のようなことが分かります。
ナツキは生まれる前、カメムライチローという人間で、福島でトマトを栽培していたようです。しかし、冬場は作物が育たず貧しい生活を送ります。
そして、ある冬の日。カメムライチローは、お腹がすいて動けなくなり、ひとり寂しく亡くなってしまいます。
次に気がついた時には、空の上の神様のところにいて、神様が次に生まれ変わる人生を選ばせてくれます。
前の人生で餓死してしまったナツキは、今度は一生食べる物に困らない人生を選んだそうです。
「ママをえらんでくれたんだ・・・」
「ありがとねー」
「ありがとう」
「ありがとう・・・」
ナツキの話を聞いて、塚ポンと奥さんは涙を流します。
それから塚ポンは、ナツキに腹いっぱい食わせるために、それまで以上に一生懸命働くように。すると、ナツキの聴力はドンドン上がっていき、もう補聴器も不要になります。
お店
塚ポンが話をしていると、ナツキがお店へやってきます。
「ナツキのおかげでここまでがんばれた」
「ナツキの障害がなかったら店を持つなんて考えもしなかった」
「だからこの今があるの」
「”カメムライチロー”のおかげなんだ」
そう言って、ナツキの頭を撫でる塚ポン。そんな塚ポンに、☓華も看護師時代に聞いた話をします。
「”生まれる命”には必ず役目がある」
「死産でも中絶でも生まれてこない命も役目をもって消えていく」
「障害を持った子供にも同じく意味がある」
「ちゃんと障害を受け入れ育ててくれる親を」
「空の上の子供達がえらんでやってくる」
「私もナツキ君が塚ポンとカナエさんをえらんで」
「やってきたんだと思います」
☓華達の話を不思議そうに聞いているナツキ。
「ねー何の話してんの?」
「カメムライチローの話をしてたんだよ」
「誰・・・それ?」
あんなにハッキリと話していたのに、ナツキはもうカメムライチローのことを覚えていないそうです。
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